在英NGOシリア人権監視団(SOHR)は14日、シリア南部スウェイダ県で、イスラム教の少数派ドルーズ派の武装勢力とベドウィン(遊牧民)の間で衝突が生じ、99人が死亡したと発表した。昨年12月にアサド政権が崩壊したシリアでは、異なる民族や宗派間での争いが相次いでおり、治安の安定化が課題になっている。
SOHRによると、ベドウィンとドルーズ派の間のトラブルをきっかけに、13日から14日にかけて衝突が発生。一連の戦闘で、スウェイダ県の住民60人、ベドウィン18人、事態の鎮圧にあたっていた暫定政権軍の兵士14人などが死亡したという。スウェイダ県はドルーズ派が多く住む地域として知られる。
ドルーズ派をめぐっては4~5月、首都ダマスカス郊外などで暫定政権との衝突が拡大し、100人以上が死亡。ドルーズ派の保護を掲げる隣国イスラエル軍が、「警告」として大統領官邸付近を空爆する事態となった。
イスラエル軍は今月14日、衝突を受け、スウェイダ方面に進行していた数両の戦車を攻撃したと発表。「シリア南部での軍事的脅威の確立を許さない」と主張した。これに対し、暫定政権の外務省は14日、声明で「治安の問題は、シリア国家の排他的権限の下に置かれるべきだ」とし、イスラエルの動きを牽制(けんせい)した。